クリスタルと愉快な戦士たち(戦士の休息編)~ファリスの愉快な一日(別名:バッツの喜劇)~
抜けるような青空と、天高くそびえる太陽。伸びやかに、健やかに、心も晴れ晴れとしている。
日ごろの疲れもあるからと戦士たちは一時(いっとき)の休日を、それぞれ楽しんでいた。
バッツは剣の手入れ。レナは読書を楽しんでいる。好奇心旺盛なクルルは町の探索。そして宿屋にはクリスタルの戦士が一人。退屈そうにベッドに横たわっていた。
欠伸を噛み殺し、ゴロゴロと寝返りを打っている。
退屈だ。とても退屈だ。
もう一度寝返り。
そして溜息。
何度この動作を繰り返した事か。
しかし、それで退屈が紛れる訳でも無く…
「本当、退屈だなー」
一人事を言い、ファリスは溜息を吐いた。
何もする事がない。と言うか出来ない。酒を飲もうとバーまで足を運んだのだが、仲間からもの凄い形相で止められた。
まぁ、あんな事があれば当たり前なのだが…あれは本当、マジ酷かった。思わず「たはは」と、思い出し笑いを浮かべる。
あの後、自分より年下のクルルに、こにっぴどく怒られ。ガラフには呆れられ。レナには3日間、口を聞いて貰えなかった。まぁ、彼女。ファリスにとってこれが一番の打撃だったので、それ以降は酒は控えていたのだが…
「何やらかしたんだよ…」と、バッツは言っていたが、
ま、何があったのかは察して欲しい。
兎にも角にも、暇なのだ。
本当、暇で暇で溶けるわーと、思うくらいに暇なのだ。
「あー、あー・・・」
見上げる空は青い。流れる雲は白い。
こんな日は―――
「うしっ」とベッドから起き上がると、気合を入れるため両頬を軽くたたく。「うしし」と、女性には似つかわしくない笑みを浮かべ、ファリスは部屋を出た。
黙っていれば、誰もが振り返るほどの美人が…少々残念な事になっているのは言わないでおこう。
サクサクと軽快なリズムで進んだ先に居たのは…癖のある茶色い髪。真剣な青い瞳。
風のクリスタルの加護を持つ四戦士の一人。基。―――標的のバッツ。
剣の手入れに余程真剣なのだろう。気配に敏感な彼が珍しくこちらの気配に気づいていない。
「よぅ☆バッツゥーー」
「ブベッ!!?」
ドーンと背中軽く押した(つもり)のファリスに驚いたのか、押し方が強かったのか、バッツは前のめりになり、顔面を思い切り地面に強打した。
「って、お~い?大丈夫かー?」
声をかけ顔を覗き込もうと・・・・ああ。バッツの顔が地面にめり込んでいる気がするが…きっと気のせいだろうと、ファリスは自己解決した。
「それよりもさーー
「って、この状況を無視かよ!」ポン☆と音を鳴らし地面から顔を引っこ抜いたバッツは、土だらけの顔に構わず、ファリスに怒鳴る。
「
チッ・・・・・・わりぃな、バッツ、いたかったか?ま、けがもないようだし、だいじょうぶだな、もんだいない、ああ、もんだいないとも。で、だなーーーー」
「・・・」
舌打ちは聞かなかった事にしよう。そして、何故片言?とは突っ込まずにバッツは顔についた土を払いながら、仕方なしにファリスの話を聞く。
「(こう言う時のあいつを無視したら、後が怖いしな…)」
心の中でそう呟きながら、どこか遠くでも見るようにファリスを見つめた。
「あのさ、お前レナとやっ
―――「どわーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!」「・・・何だよ」
「お前、女だろ!行き成り何て事を言うんだ!!わきまえろ!!!恥じらいはないのか!!!大体。良い年した娘が、そんな事を言うもんじゃないと思うんだけどなーー。俺はぁぁーーー」
半分自棄になっているような…
顔を赤くしながらも、全力でファリスに忠告する姿は、まるで親父のようだ。と言うか、別に彼女のオヤジになった覚えは一ミクロンもない。
「んで、何が言いたいんだよ」
ぎろりとファリスを睨む。
こうでもしないと、彼女の口からまた突拍子もない言葉を言われるだろう。
「じゃぁ、お前さ。レナの子供tk…
「だ・か・ら・ぁぁぁぁsgfysjふfhsdhなめこーーーーー」「んだよ、いちいちうるせぇ奴だな」
「アナタガソウサセテイルンデスケド・・・・・」
半分真っ白になって、乾いた笑をバッツはこぼす。
あははは・・・。
何?何なの?下ネタ好きなの?別にそれに付き合うとかじゃなくてさ…なんて言うかさ。如何して”仮にも女”とこんな話してるの俺?これって苛め?何かの嫌がらせ?だって、別にこれっていまする話じゃないよな。
あぁもう、俺、リックス帰りたい…
諦めたのか、ファリスは別の話題を振る。
「お前さ、レナと結婚しないの?」
内容は、あまり変わっていないが…
「・・・・・は?」
何故、行き成りそうなる?普通、好きなんだろう?とか、如何思っている?とか…そこから……
「そこからかよ!」
「俺、協r―――
「全力で、俺の人生全てを掛けて、お断りさせて頂きます」「チッ、バッツのくせに…つーかパンツのくせに」
「如何言う意味じゃーーーー!つーか、パンツはねーだろう!パンツはぁぁぁぁぁ」
両こぶしを握り締めパン・・・・・バッツは叫ぶ。顔を赤くして、それはそれは半狂乱に…
「あー。ま、細かい事は気にするな”パとン”しか違わないし―――」
え?ずいぶん違うと思うけど…二文字も違うし、その言葉の意味も違うし…
ふふふ。あれ?おかしいな、涙が止まんない・・・・いいえ、これはきっと汗。青春と言う苦い思い出w(ry)…
「如何した?パンーーー
「もう、良いからそれ!」「それで、だ!本題に入る」
もうこれ以上は、本当嫌。勘弁してください。と、言いたかったが…彼女は怒らせると本当に怖い。マジで怖い。それはそれは烈火のごとく、なまはげが……とりあえず怖いので何も言わない。
「レナに告白しないのか?」
「・・・別に」
「男らしくないなー。ここはバシッと!当たって砕け散れ☆塵も残さずにな☆
ソシテカエッテクルナwww」
パチンと可愛らしい?ウインクをするファリスに、バン…バッツは再び乾いた笑みをこぼした。その顔は引きつっていると言った方が正しいが…
それにしても、
砕け散ったら意味ねぇだろう。つーか、薄らと…あー、何だろう。殺意あるような。
「いいよ、今はこんな状況だし。レナだって困るだろう?」
「んじゃぁ、俺はレナに伝えてくるな!」
え、何。何ですか?俺、スルー??とバッツの頭にそんな言葉が走馬燈に掠めていた瞬間―――颯爽と片手を上げ、ファリスはその場を去ろうとする。
「レナ愛しているんでごわす。俺と結婚んでごわす。って、よ!言っておいてやるから、安心しろ」
それ、安心・・・・・できるのか?
「・・・いやいやいやいやいやいやいや!それ、なんか違うでしょう。色々間違っているでしょう。つーか、ごわすって…」
ああ、もう本当、マジ、リックス帰r…(ry)
泣き崩れているバッツ。裏腹にファリスの顔は清々しいまでに
美しく微笑んで悪魔のような歪んだ笑みだった。
と、そこへレナがあたりを見渡してこちらへ近づいている。
どうやら二人を探している様だ。
二人に気が付くと小走りで名前を呼びながら駆け寄る。
「バッツー、姉さーん」
手を振りながら満面の笑みを浮かべるレナってマジ可愛いよなー抱きしめたいっーかまじ本当嫁にいかせたくないというかでもレナの恋の応援もしたいしなー泣き顔もマジで可愛いんだけど何か困った顔も良いんだよな何でこんな冴えないニート(酷い)なんか好きなのか永遠の謎だよなと言うか銀河の謎d・・・・
「如何したの?」
首を傾げてファリスを見つめるレナに、優しい笑みをこぼす。
ああ、本当。その笑顔を見たらきっと本当もてると思うよファリス君……
「そうだレナ。お前に言いたい事があったんだ…バッツがさ」
「バッツが?」
そう言葉にした瞬間。レナの頬がほんのりと赤く染まる。
愁いに帯びた瞳はゆらゆらと…どんな翡翠の宝石よりも美しい。恋をしている瞳。
「バッツがさぁ、愛s――「アインシュタインってさ、5歳頃まであまり言葉を話さなかったと伝えられてさー。そのことで、単なる記号処理的な頭脳の働きでなく、全体を把握する能力を養ったという意見もあるんだぜ。5歳のときに父親からもらった方位磁石が、自然界の仕組みに対する興味をもたらすきっかけとなって、6歳頃にはヴァイオリンを習い始めt……(ry)(byウィキペディア参考)」
全力で言葉を並べたせいで、息切れ寸前のバッツにレナは少々…と言うか、かなりドン引きした。
「え、ええ…それは凄い、わね…」
目をまん丸くして、何度も瞬きを繰り返す。
何故。今、アインシュタイン?と、首を傾げレナは悶々と考えていた。
「(あーあ、これだからバッツをからかうのを止められないんだよなー)」
くししと美しくない笑みを浮かべ、ファリスはレナの肩を抱きながら宿への道を戻る。
白く燃え尽きたパン・・・バッツは夜まで「リックス…」と、呟いて居たとか居ないとか…
「ああ、俺。リッk……(ry)」
戦士達の平和な日常はこうして終わる…
クルル「バッツてさー、本当馬鹿正直だよねーー」
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