最近本格的に寒くなってきましたね。(こちらだけかな?)風邪が大流行中です。んで、私もまた×2引いてしまって…本当。救えません(汗)皆様は、本当に風邪引かないように気を付けてくださいね。何度も引く私は、ついにアホのレッテルを張られました。トホホ…
皆様のお優しい拍手ありがとうございます。嬉しくて、ぐはぁーー(^P^)
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最近バツレナの潤いが足りない…誰か…誰か助けてください!!!バツレナをくださいぃぃぃ!!!!!!!と言いながらのバツレナ加筆です。
説明をしますと、レナがある理由でちょっと無茶した。でも無茶をしないで欲しいバッツみたいな……
私は、何が言いたいのだろう……
夜風の冷たさに、レナはむき出しの肩をふるりと震わせた。
少し肌寒いが、今の自分にはこの寒さが丁度良いのかもしれない。
真っ暗な夜の海。頼りになるのは月光の光と、小さく光る無数の星の光。
小波がざざん。ざざん。と、悲しげに音を奏ででいる。
悲しげに、弱々しく感じるのは、クリスタルの力が弱っているからだろうか。
「ごめんなさい」
そう呟いた言葉は、小波によって消えていった。
大丈夫だと貴方が言うのなら小波の音と、何処かで自分を呼ぶ声。
知って居る。自分はこの声の主を知って居る。忘れる事なんてない。忘れられない声。
だが、今彼に会う事がとても苦しくて、悲しい。
会いたくない。
でも、会いに来てくれた。
心の中で会いたくないと葛藤しても、相反する心の経緯は決まっている。
交差する心は、時に痛みを覚え。時にじんと、浸透する温かさを教えた。
荒い息遣いが、近くに聞こえる。
近くに居る相手は、相当慌てていたのか、焦っていたのか?呼吸が定まっていない。
冷たい風が遮られたと同時に、「よっ」っと、言う声と共に感じた背中の温かさ。
それでも、顔を上げる事なくレナは、ただ真っ直ぐに暗い海を見つめた。
「(ごめんなさい)」
心の中で言っても意味のない言葉だとは分かっている。
もし、この声(言葉)が届くのなら、何度でもこの言葉を口にしよう。
―――どのくらいの間。そうしていたのだろう。
互いに口を開く事無く過ぎ去る時。もうずっと、小波の音だけが耳に響く旋律を奏でている。
暫く続いた沈黙の後。バッツは居たたまれず後ろ頭をガリガリと無造作に掻き、「うーん。えーっと」などと呟きながら、きまり悪そうにレナの方へと首だけを向け、言葉を投げかける。
「探したんだぞ?」
「ごめんなさい」
「心配もした」
「・・・ごめんなさい」
小さく頷いてレナは膝に顔を埋めた。
ざざん。ざざん。と、小波の音だけが聞こえる。
暫くの静寂の後。―――レナは静かにポツリポツリと呟く。
「私、全然皆の役に立ててないね。心配ばかり掛けている」
何処か遠くを見据えたレナが呟き、その言葉にバッツは首を傾げた。
波の音と共に、風が一陣。二人の身体をすり抜ける。
「皆の足を引っ張ってばかりで、全然役に立ってなくて―――…」
バッツのように剣に長けているわけでもない。ファリスの様に素早い判断も、カリスマ的な行動力もない。クルルの様に高い魔力があるわけでもない。
「もう、誰も失いたくない。私も皆を守りたい。でも、私には何一つない。何も出来ない。だから…」
言いかけた言葉が止まり、暫く考えて居たバッツがレナの方へと視線をひょい。っと、向ける。
鼻に息が掛かるほどに距離を縮められ、驚きからレナはびくりと肩を揺らした。
「だから今日、あんな無茶したのか?傷ついても、犠牲になってもって、思ったのか?」
そう言葉を言った彼の瞳があまりに真剣で、声色があまりに低く怒ったような口調で、ゾクリと背中に冷たい悪寒が走った。
「あ―――」と、言う間もなく。するりとバッツが、レナの手を取る。白く細い手には似つかわしくない痛々しいまでの包帯が、幾重にも巻かれていた。
その手をそっと握りしめ。バッツは苦しそうにレナの手を見つめている。
反対されたのにも関わらず、前列に前に出た揚句。庇って怪我を負ってしまい、仲間を心配させてしまった。
きっとレナの事だ。自分を責めているだろう。責任を感じているだろう。現に今目の前に居る彼女の表情はとても悲しげだった。
分かっているよ。
彼女は優しいから。責任感が強いから。苦しんでいる。悲しんでいる。それでも―――それでも。もっと悲しい事がある。
「俺は、レナが傷つくのが嫌だ。嫌なんだ」
そう言う彼の顔が、声が、あまりに優しくて
眉を寄せて困ったかのように悲しい顔をされ、レナの心臓がずきりと痛んだ。
「―――ごめん…なさっ……」
違う――。そんな言葉が言いたいわけではない。皆が傷つくのが嫌だった。守りたかった。だからと言って、自分が行った行動は決して正しいとも思えない。
“犠牲になる”そう言いたいわけではない。無論、そうなりたいわけでもない。
自己犠牲と言えば聞こえが良いが、残された者が背負う悲しみを、自分達は誰よりも知っている。だからこそ、誰も失いたくないという思いを強く望んでしまう。
足掻いても、もがいても、行き成り剣が強くなるわけでもない。無い物ねだりをして、駄々をこねるような子供ではない。
知っている。人には無理な事がある事も。出来ない事がある事も…
だからいつもただ見ているだけ。見守っているだけ。
それがたまらなく嫌だった。出来ないからと言って、皆が傷ついていく姿を見るのが辛かった。
だから犠牲に?
「そうじゃ、な…い」
言いたい言葉がある。もっと違う言葉がある。だが“違う”という否定の言葉が出てこない。
ふるふると、何度も首を横に振るレナは、零れそうになる涙を何とか堪えた。
男が息をついたのを聞いた瞬間。まるで全身が凍りついたかのように冷たくなるのを感じた。
―――ああ、きっと呆れられてしまった。嫌われてしまった。
苦悶に満ちた表情で顔を上げれば、バッツは苦笑いを零しながらぽんぽんとレナの頭を何度も撫でる。
きっと怒っているのだろうと思っていたレナは、思わぬ行動に首を傾げた。
そんなレナを楽しげに見つめながら、バッツは撫でていた手を、少女の頬に添える。
―――柔らかく、そして少し冷たい頬の感触が、右手から伝わるのを確かめるかのように触れる。
「俺は、レナが役に立たないって思った事は一度も無いぞ。何度も助けられた事もある。頑張ろうと思えるのは――…あー。いや、それに俺って頑丈だけが取り柄だから、多少傷ついても大丈夫だからな。うん。だから…」
まくし立てるかのように早口な口調は、まるで何か言いづらい事を言うような。もっと別な何かが有る様な…そんな口調だ。
一気に言葉を紡ぎ、何度か咳払いをする。
「―――だから……」
ふっと笑ったかと思った瞬間―――目の前に映ったのは青色。それが彼の腕の中だと気づいたものだから、レナの鼓動が一気に高鳴った。
抱きしめられている腕に力が入ると、彼の胸の鼓動まで聞こえる。もしかすると、自分の鼓動よりも早いかもしれない。
瞳を閉じると、とくん。とくん。と、規則正しい互いの鼓動の音が交差するかのように聞こえる。
温かくて、心地よくて、ずっと、こうして聞いて居たいとさえ思ってしまう。
「だから、大丈夫。俺に任せなさい」
そう言ってウインクをするバッツを、レナはキョトンとした顔で見つめていた。
気まずそうにポリポリとこめかみを掻いて、咳払いをすると「頼りないかもしれないけど…」と、小さな声で言葉を付け加えた。
「っ、……」
じんわりと広がるのは、彼の優しさ、温かさ…
言葉が、
優しさが、
思いが、
嬉しかった。抱きしめる力がちょっとだけ苦しいけど…
―――大丈夫
それは不思議な言葉。魔法の言葉。
如何してだろう。彼がそう言うと、本当にそう思えてしまう。大丈夫だと思えてしまう。
「俺が、守るから―――だから、レナは俺の側に居て」
一旦。言葉を置いたバッツが一呼吸すると、ため息を漏らすかのように小さな声でその言葉を吐き出した。
「……うん」
小さく頷いたレナの瞳に薄っすらと浮かんだ涙。彼がその腕を開放しなければ、きっと気づく事はないだろう。
だが、それで良い。気づかないで……欲しい。
聞こえるのは、小波の音と互いの心音。
恥ずかしさを隠すためか。バッツはレナの頭に顔を埋め、か細い背に手を回す。
更に胸に押し付けられるかのように抱きしめられ、思わず「ひゃう」と言葉にならない言葉も漏らした。
隙間なく密着している胸から聞こえる鼓動。その鼓動がさらに早く高鳴っているのは…気のせいだろうか。
ああ。それは気のせいかもしれない。だが、少しだけその事を嬉しく思ったレナは、そっと広い背に腕を回した。
小波は愛も変わらず。止まる事無く、ざざん。ざざんと調べを奏ででいた。

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