タイクーンと呼ばれる城の最も高い塔。
そこに少女―――レナ。タイクーンを治める王―――アレクサンダー・ハイウィンド・タイクーンが居た。
肩までかかる美しい桜色の髪を靡かせ、レナは悲しげに表情を歪ませた。
飛竜の傍へ行く王―――アレクサンダーは静かにレナの方へと視線を向けた。
「お父様。どうしても、行かれるのですか?」
レナは父アレクサンダーに駆け寄ると、胸に手を押し当てる。
心からの心配と、同時に胸から湧き上がる不安もあった。
そうして少女は、父を見上げる。
「レナ、お前は城を守るのだ。けっして、追ってきてはならぬぞ」
アレクサンダーは傍にいた飛竜の背を撫でる。
背を撫でられた飛竜は大空へ高く高く雄たけびを上げると、翼を広げた。
「でも……」
俯いてレナは手を伸ばす。
しかし、アレクサンダーはレナを振り切り決意の言葉を吐いた。
「風のようすが変なのだ…わしは、風の神殿のクリスタルの所へ行かねばならぬ」
「ええ…私にも感じられます。でも、おひとりでは…」
風の様子がおかしい。
それは、クリスタルを守護するタイクーンの王国だけではない。世界中で感じられた異変。
「心配するな」
愛娘を心配させまいと、父である王は精一杯の笑顔をレナに向けた。
それでも不安は解消されない。むしろ募るばかりで…
それは…
それは―――・・・
「でも……、でもっ!!お父様の
ぎっくり腰が再発されては…」
「むむっっ…しかし…」
レナの言葉を聞き、アレクサンダー王は、冷や汗を浮かべた。
無理はできない身の上。重々承知だ。何せ彼アレクサンダー・ハイウィンド・タイクーンは先日剣の稽古中。腰を痛めたのだ。
久々の稽古だった。気合も入っていた。
だから忘れていた。自分の年を…と言うか、自分はまだまだいけると過信していた。
そして悲劇は起こった。アレクサンダー必殺の剣。アレクサンダー・スペシャル・ファイナル・スラッシュ・フォーメーション(変な技名)―――渾身の一撃を込めた刃は、ゴキリと言う腰の嫌な音とともに儚く散った。
初めに言っておくが、兵士は止めたいた。必死に止めたいた。しかし、アレクサンダーは「私も、まだまだいけるぞぃ!」と無理やりに実行したのがこの結果だった。
こくりとレナは頷くと、飛竜の背を撫でた。
大きく羽ばたく飛竜…
「お父様は、兎に角。ぎっくり腰を早く治してください」
「レナ!どうしても、行かれるのですか?」
「アレクサンダー、お前は城を守るのだ。けっして、追って来はならぬぞ」
「でも……」
悲壮の涙を呑み込むようにタイクーンの王―――アレクサンダーは立ち尽くす。
「風のようすが変なのだ…わしは、風の神殿のクリスタルの所へ行かねばならぬ」
「ええ…私にも感じられます…でも、……って、あれ?何か会話逆じゃね?」
「心配するな」
そう言うとレナは飛竜とともにタイクーンを後にする。
朝焼けの太陽が霧を払い、青空がひらけた美しい朝だった。
「レナぁぁぁぁ―――――――――――――――――――――!!」
悲痛な叫びは、飛竜の声とともに消えていった。
ゴキィッ★(破壊の腰の音)
「ウボァー」
次回のこんなFF5は嫌だ!は…
新たな仲間との出会い!!そして……
アレクサンダー王:「サリサぁぁぁぁぁ――――――――――――――――!!!」
ファリス:「Uzeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeee!!!」
お楽しみに★(楽しみじゃない)
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