死にネタ?と言うわけではないのですが、凄くシリアスな感じです。あ、でもあれは一応死にネタなのかな?バッツが無に消えてしまうED的な…
「いかないで」と言う言葉を聞いて、「さよならを君に」というタイトルが思い浮かんで書いた小説。少し恥ずかしいですが、これで良いんだ!!(自己満足です)
バッツがレナを庇って大怪我をして無に消えて…
レナ・ファリス・クルルだけ生還したEDと考えて頂ければ、わかりやすいかもです。
彼は、きっと戻ってくるよ……
………うん。多分……そう願いたい(え?)
さよならを君に「如何して」と、困ったかのように君は泣いている。
真珠のように美しく純粋な涙は、止めどなくレナの瞳から溢れ、両頬を濡らしていた。
嬉しい涙なら良いけれども、悲しい顔で涙を流す彼女を見ていると、傷ではない痛みが心を侵食する。
ああ、けれども…今は、涙を拭う力さえ無い。
泣き顔は見たくない。笑っていてほしい。
彼女には笑顔が似合うから…
「ツッ、―――ハッ……て、…く・・・れ」
言葉にしようと声を振り絞るが、口内に咽かえるような血が溢れる。
彼女の涙を消す為。この想いを言葉にしたいのに、声にならない。
ああ、そうか。声を出す力すら、もう…ないのだ。
力強く、しかし、震えている手でレナは俺の手を握りしめている。
涙が、雨のように俺の顔を濡らした。
「お願い。私を、置いて…いかないで」
ごめん。
ごめん…な。
それは無理、なんだ。無理なお願いなんだ。
俺はもう、きっと…
虚ろな瞳で、空を見る。
それが彼女に伝わったのか?まるで子供みたいに泣きじゃくるレナは、否定するかのように何度も何度も首を横に振る。
仕方ないな…と言う微笑を浮かべ、最後の力でレナの濡れた頬に手を添えた。力ない手は何度も彼女の頬を優しく撫でる。
衝動的にレナも大きな手を包み込むように小さな手を重ねた。
「レ……ナ―――…」
最後…だから。
これが、最後だから…
彼女に伝えられる最後の……
力を、出せる…か?
最後の……ちか…ら
いや、出す。
軋む身体を起こして、彼女の桜色の頭をこちらへと引き寄せる。
一瞬だけ見開いて閉じられた蒼い瞳を、彼女の翡翠が捕え―――…羽が触れるような…そんな軽い口づけだった。
「バッツ?」
離れた唇から洩れたレナの言葉は、驚きと戸惑い。
そして…
「さよなら……」
今出来る。精一杯の笑顔と言葉を、彼女におくる。
するりとレナと俺の手が離れる。それが必然であるかのように…
離れていく距離。それでも。一杯に、千切れてしまうのではないかと言う位に、レナは手を伸ばしている。
「いかないでっっ―――!!」
レナが懸命に伸ばした手の先に触れる事無く、俺の手は宙を彷徨い。行き先を失う。
彼女の涙で濡れた頬も、握りしめてくれた手の温もりも、名を呼んでくれた声も……何もかも消えていく。
あぁ、結局。笑顔を見られなかったな…
ぼんやりとした思考の奥で、確かに浮かんだ彼女の顔は…
―――眠い。とても、眠い。
闇へ落ち。染まっていく…自分の姿さえも。
バッツがゆっくりと瞳を閉じると、静かに、ただ静かに。全ては漆黒へと消えていった。
最後だから、
さよならを、たった一人の大切な君に・・・
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