ファリスとクルルの心素直にの裏のお話です。色んな矛盾点がここにて解決します(笑)
うーん。やっぱりファリス姐さんの性格が素敵で、良い性格です^^;
クルルの性格を掴むのが難しかったです。なので、少々?皆さんのイメージと違うかもしれません。
残るはバッツとレナの物語”心素直に~探究といたわり~その後”で終わりです。
ふー。長かった戦いも、ここで終わりです(え!?)
・・・因みに皆様は、王道好きですか?
前作のお話を知らない方は
①
心素直に~探究といたわり~②
心素直に~いたわりと勇気~③
心素直に~探究と勇気~から読んでください。
ずっと、感じていた。信じて疑わなかった。
二人が想いあっていた事。互いを大切に思っていた事。
そんな二人が羨ましくて、素敵だなって…思っていた。
互いに一緒の道を進めないかもしれない。でも、想いは一緒だって。
例え、別々の道を歩んだとしても、その想いは重なり合っているって…
―――レナが結婚する。
でも、それは私がよく知っている彼ではない。結婚するのは私が知らない別の人。
おねえちゃんと一緒に居るのは、バッツしか居ないと思っていたのに。実際に結婚するのは全く知らない別な人。
その事実に、少しの絶望と落胆があった。
ねぇ、レナおねえちゃん。それは本心?それとも、隠しているの?
本当の心
真実の心
もし、心を殺しているのなら、
押しこめているのなら、
想いを、心を素直に……
心素直に~勇気と希望~ここ数日、いつも元気なクルルに笑顔がない。パル城の人々はそう思いながらも、それを口にしようとはしなかった。
無論。クルルの事は心配だ。何せ前王がとても可愛がっていた孫娘なのだから尚更だ。それは、それは心配でたまらない。
しかし、今彼女が掲げている問題は―――…
ふぅっと、小さくため息をついてクルルは窓の外を見つめる。
何処までも抜けるような青い空、流れる雲。
あの頃がとても懐かしい。辛い事。楽しい事。沢山の思い出が、駆け抜ける風の様にあっという間の日々だった。
まるで、夢物語のような……
ぼーっと、流れる雲を目で追って居た時だった。
「よ!クルル。元気にしていたか?」
そう言いながら、右手を挙げファリスはクルルに挨拶する。王族らしからぬ挨拶だが、変わらない彼女の態度に、何処かホッとしたかのようにクルルは肩を落とした。
「ん?確かレナおねえちゃんの結婚式はまだ先だよね。如何してパルに?」
ぴょんと王座から飛び跳ねたクルル。歩くたびに揺れる長いしなやかな金色のポニテールを靡かせ、嬉しそうにファリスの元へと近づいていく。
「まぁ、ちょっと…さ。んで、クルルは何でそんな浮かない顔なんだ?」
共に苦楽を共にした仲間だからだろうか?一瞬にしてクルルの心境を悟る辺りは流石と言えるだろう。
黙って居てもきっとファリスの事だから、聞きだしてくるに違いない。言いたくないような…だがしかし、内心。気にかけてもらえることが嬉しかった。
「レナおねえちゃん…」
呟き俯いて黙ってしまったクルルの肩をファリスは何度か優しく叩く。
クルルがそろそろと顔を上げると、満々の笑みで人差し指を立てウインクをしたファリスが居た。
笑顔の意味が分からず、思わず顔を顰め、首を傾げる。
如何して笑っていられるの?
ファリスは一番にレナの気持ちが分かっているのに…如何して?
分からない。全く分からない。
「会った事もない人と結婚するんだよ?私、どうせならレナおねえちゃんと一緒になるの、バッツの方が良かった…」
ポツリと呟いたクルルの本音に、「何だ、そんな事か…」と、言わんばかりのファリスが、にかりと笑った。
自分が懸命に話した言葉を否定されたようで、クルルはぷくりと頬を膨らませる。
「んー。まぁ、それは全く問題ない。レナに会いたがっていた王子との結婚。あれ嘘」
「・・・え?」
固まってしまったクルルの表情は、ポカンと口を開けたまま止まっている。
さらりと何でもないように答えるファリスに、がくりと肩を落としながらため息をついた。
何を言っているんだろうと、彼女の言葉を真に受けず、クルルは言葉を出そうと口を開くが―――
「いやー、大変だったんだぞ!断るの…。相手がレナにどーーーーしても、会いたいってしつこいしさー。でもさ、そのまま強制送還した」
「あはは…」と、後ろ頭を掻きながら笑うファリスの姿。そんな彼女の姿を、何処か遠くで見つめているような感覚に襲われる。
チッ、チッ、チッ…と時計の秒針が3針位進んだ時―――パル城に響いた声。
「えっ、えええーーーーっっ!!?」
叫んだクルルは、慌ててファリス方へと視線を向ける。
情報があまりに途方もない事で、思考が追いつかない。彼女の言っている言葉の意味が、
―――マッタクワカラナイ……。
「だっ、だっ…だって招待状届いたよ?バッツにだって届いたって…え?でも…それにお城の人達だって…」
訳がわからずクルルは早口でまくしたてる。楽しそうにクルルの姿を見て居たファリスは、「ふっ、ふっ、ふっ」と、淑女らしからぬ笑みを浮かべていた。
「ああ、タイクーンの全員がグル。あれだけの事をするのに皆の手を借りないわけにはいかないだろう?皆快く手伝ってくれたよ!」
「・・・」
そうは言っているけど…多分。半分以上はファリスの力(無理やり)だと思う。
あ、何だろうこの感覚。置いてかれてしまったような…。ああ、何も知らないのあの二人だけなんだね。
うーん。何て言うか、タイクーンの人達ってかなり良い性格だよね。それを黙って居るって言う大臣も、ジェシカさんも……
項垂れながら今までの悩みは何だったのだろうとクルルは脱力した。
ニカッと笑っているファリスに、薄ら寒いものを感じたが、うずうずと湧き上がるのは…
「でも…なんだか楽しそう」
「だろっ!」
顔を見合わせた二人は、まるで悪の秘密結社の様にニヤリと微笑んだ。
おじいちゃん…
あの二人なら、きっと…絶対に大丈夫だよね。
どんなに遠く離れていても、固い絆で結ばれている私達の思いは一つ。
―――皆、二人の幸せを願っている。
レナおねえちゃん。バッツ。
想いを、心を開放して
そうすれば、きっと届くよ。
心素直に、その想いを―――…

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