心素直にバッツの視点です。今回はクルルの出番はないですが、次にあります。
あと2回くらいで完結できる……筈?(笑)
バッツとファリスのお話。背中合わせの友情?と言う感じですが、ファリスのレナ好きっぷりが暴走しているような…(笑)一応。バツレナですが、今回はレナは出てきません。
前作のお話を知らない方は
①
心素直に~探究といたわり~②
心素直に~いたわりと勇気~から読んでください。
飛空艇から降りてきたファリスに声を掛ける事無く。出会って早々、有無を言わさず殴られた。
それも、手加減なんてものはない。思い切りの本気で…だ。
まさか出会って殴られるなんて予想もしていないわけで、防御などしているわけもない。
辛うじて急所は避けたが、ほぼ。まともに食らった鉄拳は、俺の頬をヒットした。思わず俺はよろめき尻餅をついた。
あいつ…本当に、手加減してなかったんだな。俺の頬が、少々(?)悲惨な事になっている。
心素直に~探求と勇気~「んで、何で俺はお前に殴られたんだ?」
まだ痛む頬を擦りながら射るように睨む。正直、居た堪れなさで一杯だが、ファリスは理由もなくこんな事をする奴ではない……と、思うのだが、ファリスときたら「別に…」と、気のない返事をしている。
「・・・そうかよ」
苛立ちと言うか…少々怒りを覚えたが、ぎりぎりの所で留まる。別件の事でのイライラを彼女にぶつけるのは、相応ではない気がしたから…
ファリスに気づかれないよう息をつき、俺はポケットに入っているタイクーンから届いた手紙を力一杯に握りつぶした。
「お前、返事したのか?」
「・・・は?」
行き成りその言葉かよ。と、言う言葉を飲み込んで、俺は間の抜けた返事をした。
旅をしてきた時も時たま考えられない行動をする事があったが、今もまさに彼女が何を考えて居るか…理解不能だ。
「だから!レナの結婚の招待状の事だよ!!」
何故か怒鳴られた事にさらに意味が理解できない。第一、何故。レナの結婚が出てくるのだろう?
如何して、その言葉を突きつけるかのように俺に言うのだろう…
―――今、もっとも聞きたくない言葉だと言うのに……
「返事は、したけど…それが何だ?」
「あー」と、言う表情のファリスに、俺は如何してか?言い知れぬ何かを感じた。
何が言いたいのだろう。はっきりしてもらいたい。
元々試されるという事は好きではない。回りくどい事も嫌いだ。白黒ハッキリしないと駄目で、曖昧で中途半端な事も嫌いだ。
それは彼女―――ファリス同じだと言うのに…如何も釈然としない。
「まぁ。そうなんだけど…な」
きまり悪そうにファリスが口ごもる。視線をバッツから外すと深い溜息を吐いた。
「何だよ?はっきり言えよ…」
「いや~。これって、言って良いものかね。って、さ…」
曖昧。はっきりしない。本当の、本当に。こんな彼女は珍しい
しかし、隠し立てされると余計に知りたくなる。それは、探求と言うクリスタルの加護の恩恵を受けた賜物みたいなもので、いや。元々あった冒険心もあるかもしれない。
兎も角。知りたいものは、知りたいのだ。
「で…?」
追及するバッツに、ファリスが含んだような笑みを零したのは…気のせいなのだろうか?
俺はこの後、聞かされた事実にただただ、頭が真っ白になって……
気が付いたら、ボコと一緒にタイクーンの城へと向かっていた。
ああ、そうか。分かった…分かったよ。
俺の本当の心
本当の想い……
君が幸せなら。と、思って居たけれど、
俺が、君を幸せにしたい。
今なら、その言葉が言える。心素直に――――…
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