「ボコ、ここで待ってろ」
ボコと呼ばれる黄色い鳥のような生き物は「クエッ」と短い返事をすると、青年の言葉を理解しているのか、こくりと頷いた。
“ボコ”はチョコボの事である。
首は長く、大きな頭。大きな幅広のクチバシに、長い2本足が特徴で、空を飛ぶことは出来ないが、陸上を素早く走ることが出来る鳥である。
青年とボコは大親友で、いつも一緒に居た。それはある出来事が切っ掛けなのだが、今はそれよりも…
ボコから下りた青年は、暫く長い道のりを歩く。
森の木々が根こそぎ倒れている。原因は空から降ってきた巨大な隕石。
あの衝撃音とこの破壊力を考えれば、かなりの大きさだろう。
好奇心もあってか、何かに呼ばれてか?青年はまるで呼び寄せられるかのように隕石の方へと足を進めた。
視界が明るくなり、道が開けた。その瞬間―――
「グ……パァー!」聞こえた悲鳴は、
「な、何だ!?蛙を潰したかのような今の悲鳴は…」
ちょっと…かなり聞きたくない感じの悲鳴だった。
しかし聞いてしまったからには、一応。行くしかないと言うか、行くんだろうなー。行くのかぁ~。あー、行くしか道はないよねー。かなり行きたくねーなー。絶対、嫌な予感フラグ100パーじゃん。
そう思いながらも足を進める。悲鳴の先に居たのは、何故か腰を低くしながら立っているおっs……男と、男の目の前にゴブリンが2体。
思わぬ敵に、青年は思わず身構える。
が、
男はゴブリンと間合いを取り、含みのある笑みで微笑む。何故か震えた手つきで剣を抜く姿に、青年は違和感を覚えたのだが、その原因は瞬時に解明された。
「ぎにゃぁぁぁぁ!!」ごきり☆と言う音とともに、どこかで聞いたような断末魔を発した後。その場に崩れてしまった。
青年は男が強そうだから大丈夫かなー?と、思ったのだが…
「(これって、助けないといけない…のか?つーか。正直助けたくないと言うか、関わりあいたくないと言うか…)」
見なかった事にしたい。「ぬぬぬっ。お主等中々やるではないか。しかし私はここで朽ち果てるわけにはいかぬ!レナの為に!世界の為に!!私は行かねばならんのだ!!」
方膝をつきながら、今にも倒れそうな男は、剣を地面に刺しそれを支えにしている。
よろりと身体を傾けながらも、目を見開き目の前の敵を睨み付けた。
「さぁ、本気で来るのだ!私が相手になろうではないか!!」
スッと男が剣を構える―――
ゴキ☆「な ぜ だ !ワザワザ高い湿布を貼ったのに……湿布といったい……うごごご!!」聞こえたゴキ☆と言う破壊音と共に、男が崩れ去る。
目の前の敵を睨み、それでもなお立ち上がろうと剣を支えにしていた。
まるでコントを見ているような…そんな感覚に襲われる。別に、たいして襲われてたくもないのだが…
「(っーか、もうその辺にしておけよ。あの人、学習しないおじs…人だなー)」
何処か遠くを見つめる青年は、ぼうーとそんな事を思った。
「くっ、姑息な事を…」
※彼ら(ゴブリン)は、別に何もしていません。
冷や汗を浮かべる男の顔は苦痛に満ちていた(多分腰のせい)
ゴブリンは何やら関わりたくないとばかりに逃げ腰になっている。と言うか、逃走を図ろうとしている。
そして、ここにも“関わりたくはない”と、感じている人が一人。
「(うん。早くここから立ち去らないと、凄く面倒な事になりそうだなー))
そろそろ帰ろうかなー。と、青年の目は虚ろに細められた。
相手も戦意喪失しているし、大丈夫だろうと腰を浮かせる。
「もはや、これまで…なのか。だが、しかしっ!私は諦めるわけにはいかぬのだ、レナの為に!この世界n……(ry)」
再び男が剣を地面に刺し、それを支えn……もう、説明が面倒なので省略!
「(うわー。マジで、KA・KA・WA・RI・TA・KU・NE――!!)」
腰を浮かせていた青年が、半分呆れも混じった顔でその光景を見てしまった。
先ほども言ったが、ゴブリンは何もしていない。ただ立っていただけで…
「ギッ」「ギギッ」と彼らにしか分からない会話をしているが・・・・何故か、何となくその言葉が理解できる気がする。
取りあえず。青年は早く帰りたかったし、関わりたくなかったので、この場を離れようと足を後ろに後退させた―――のだが、何故かそこに丁度良い具合にバナナの皮があり、踏んでしまい。そして、お約束とばかりにすっ転んでしまう。
「どわっーーー!」
尻餅をつく青年。静まり返る森。
「痛っ~~」と、呟きながら起き上げれば、向けられている視線。
「げっ、見つかった…」
思わず出してしまった言葉は、彼の本音。
「うわー」と、思った瞬間――合わせたくもないが、男とばっちりと目が合ってしまった。
しかも意味深げに、うっとりとした表情でこちらを見つめ瞬きなんかをしている。
ちょっ!怖いんですけど…
そして、やっぱり
KA・KA・WA・RI・TA・KU・NE―――☆
ああ。どうせ助けるのなら、可愛らしい女性で、お姫様とか…。ほら、笑顔が似合う。優しくて、気遣いもあって、しかも運命的な出会いでさ。最後には嫁さんになってくれたりして、幸s・・・
青年はかなりキモイ位に、にやにや笑い。涎なんか流している。
妄想も体外にするべきである事を、ここで学んでおいた方が良いだろう。
「ちょっ!気づいているのなら、早く助けるのだ!」
ああ、そうだった。それよりも今は…
我に返った青年は、危険な世界へ入り込む前に今目の前にいる敵を倒さないといけない事に気づいた。本当は、かなり前から居たと言う事は、言わない方が良いだろう。
慣れた手つきで腰にあったブロードソードを抜いた。
一瞬の出来事だった。
あれだけ苦戦した勝負は、瞬きをした瞬間に片が付いていた。
「管理人の都合だがな…」
「それを言うな…」
鋭い突っ込みの後。青年がブロードソードを戻すと、ふと感じる視線。ごつい男が青年の顔をまじまじと見つめている。しかも何だか、上から目線と言うか。何と言うか…威圧感?と言う気を感じる。
「ああ、その…取りあえず。だいじょうぶか?」
ま、殆ど何もしていないけどねー。貴方…と、言う言葉を飲み込んだ青年は、取りあえず男の安否を男に尋ねた。社交辞令と言うやつだ。
「うむ…」
男は得意げに答えると、マントに付いている土を払う。
何度か頷くとじろじろと青年を見つめた。
ちょっと嫌な感じだ…
「ゴブリンを倒すとは、まぁまぁだったな。貴公、名をなんと申す…」
助けた事を棚に上げ、男は青年に問うた。
諦め半分に青年は肩をすくめると、名を名乗る。
「…おれは、バッツ。チョコボといっしょにあてのない旅をしてる…」
「パンツか…あてのない旅とは…ずいぶんと、余裕なのだな」
「パンツじゃねぇよ!名前間違っているし、助けたのにその言い方はどうかと思うぞ?」仁王立ちをして鼻で、は・な・で、男はバッツを笑う。
決して見下しているわけではないのだろうが、(あ、いや。見下しているか)仁王立ちした姿が妙に似合っている。
何なのだ?何が言いたいのだこの男は…。ゴブリンに苦戦しているくらいだし、極度の世間知らずか、引きこm・・・・
「引きこもりではない!仕方がないだろう。これ(隕石)が、とつぜん空からふってきて…爆風で飛ばされ、腰を痛めたのだからな!!」そんなに偉そうに言わんでも…と言うか、
「(え?今、心読まれた?もしかすると、ただの腰痛じいさんじゃない…のか?)」
「腰痛を馬鹿にするなぁぁぁぁ!」「ですよねー」
何はともあれ。男が言う様に、確かに。途方もない大きさの隕石が、見事に大地にめり込んでいる。これがあの衝撃音と森の木々を薙ぎ払った正体なのだろう。
「おお、そうだ。言い忘れていたが、私の名はアレクサンダーだ。アレクって呼んでね☆」
ウインクをして、こちらを流し目で見つめるおじs…アレクサンダーに、薄ら寒い悪寒が走り。バッツは思わず「オエ」と気持ちが悪い返事をしてしまった。
「兎も角。この隕石のせいなのだ。全てこの隕石が悪い。私がゴブリン如きにやられたのも。レナが最近「お父様と一緒お買いもの行くのが嫌―!」と、言うのも。朝食に私の嫌いなピーマンがあったのも。ポストが赤いのも。貴公が旅人なのも。そして私g………」
後半関係なくない?まぁ、良いか。それを突っ込むと長くなりそうだし…と、バッツあえて突っ込むのをやめた。
そして永遠とぶつぶつ文句を言っているおっs…アレクサンダーを止めるためにも、バッツは言葉を投げかけた。
そうでもしないと、話が進まないのも理由の一つと言えよう事は内緒だ。
「いん石か?」
「いん石…?風がとまったのと、なにかかんけいが…?」
暫く俯きながら考えて居たアレクサンダーは、我に返ったかのように顔を上げる。
「バッツよ、私は急がなくてはならない。お礼は、この私直々の腹巻w
…「要らねぇぇぇぇぇぇーーーーーーーーー!!」「腹巻を馬鹿にするではない!これは冬でも暖かく身を包んでくれるのだぞ!ほら遠慮するな!!」
ぐいぐいと脱ぎたてほやほやの腹巻を、半分強制的にバッツに渡すアレクサンダー。
如何してこんな事になったのだろう。
ああ、関わらない方が良かった。そう言う意味でのバッツの第六感は正しかったと言えよう。
「お、おいおい。ちょっと待てよ…取りあえず腹巻はいらない!要らないぞぅ!!」
くそも要らない腹巻を返そうと、バッツはアレクサンダーへと詰め寄る。
「む、何か聞こえぬか?」
「えっ?」
「う……う…助けてくれ…」
うめき声が聞こえる。もしかしたら、先程の隕石に巻き込まれたのかもしれない。
声が聞こえる方向へアレクサンダーは足を進めた。別に腹巻をバッツに押し付けたかった訳ではない・・・・・・・・・・・多分。
「あっちだな!」
「え、いや、待てよ!!これ、マジ返すから!要らないしっ!!!本当。まじ
要らないからぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」しかし、アレクサンダーは声がする方へと駆け寄ってしまい。腹巻は結局。バッツの手元に残される事になる。
そっと、腹巻を捨てようとバッツはその辺に放り投げようと…
「わしの愛を捨てるなーーーーーーーーーーーーーーー!!!」「ですよねー」
何で後ろ向いているのに分かるんだよ…。と言う突っ込みは、もう色々なんか色々面倒なので止めよう。
「(後で、燃やしておこう…)」
焚火の肥しにはなるだろう。よく燃えそうだ。
本当は今すぐにでも、捨てたいのだが…
プラス思考に考えて、持っていたごみ袋に中に腹巻を無造作に突っ込むと、バッツはアレクサンダーが向かった方へと足を進めた。
「だいじょうぶか、愚民よ!」
おいおい、愚民って・・・・・・・
「ここはどこじゃ…?あいたたた…頭をうったようじゃ… ありゃりゃ…どうしたんじゃ…?思い出せん…なにも思い出せんぞ!!」
「まさか……ボケか?」
面倒だなーと、後ろ頭をかきながらバッツが呟く。
「記憶喪失だよ!話をややこしくするな。ニート」「ですよねー」
「…ん!そうじゃ、わしの名前はガラフじゃ!」
「名前覚えているなら大丈夫だな。ほら、住民票とか…」
世界観をまるで無視した言葉だが、確かにそれは現実的な事だったりもする。
ま、ガラフだけでは、どちらのガラフさん?になりそうだが…あ、この解説も世界観無視してるかぁ~~wwwww
「……だめじゃ…名前以外のことはなにも思い出せんぞ…」
「聞けよ・・・・」
「黙れ。これ以上言うと、その口を縫い合わせるぞニートが…」「ですよねー」
「漫才しているところ悪いが、そろそろ私は行かねばならない」
「漫才じゃないけどな…で、一応。聞くが、あ、い・ち・お・う、な。どこに行くんだ?」
一応と強調するあたりが、バッツの関わりたくないと言うせめてもの抵抗にも聞こえる。
ま、きっと無駄に終わりそうだが…
「えー、ぱりぱり・・・・風のー、ぱりぱり………神殿にー、ぱりぱり・・・・・・・・」
アレクサンダーは、面倒とばかりに頬杖をついて寝転がっている。
何処から持ってきたのか、ポテチなんかも食べていた。そして、片手にはバナナ……ん?バナナって・・・・あの時のバナナの皮は、お前が原因だったんかい!
「風の神殿!!わしもそこに行かなければならなかったような気がするぞい!! わしも行くぞ!」
「嫌じゃいぃ!」「行かねばならんのだ。連れていってk・・・・
「だが断る!」全否定するなよ。物語進まんだろう・・・
「むー、バッツ。貴公も行くのなら話は別だがな…」
ちらりとアレクサンダーはバッツの方へと視線を向けるが、バッツは瞬時に視線を逸らした。
何故故。そんな目で自身を見つめるのだろう。正直止めて欲しい。女性に見つめられるのならまだしも、おっs・・・・男はキショイ………
「はぁー、面倒な人に気に居られたなー。本当、勘弁してほしいよ…」
「何が面倒だ、全て声に出しておるぞ!」
「兎も角。おれは旅を続ける。つーか、いかせたくださいおねがいしますおねがいしますおねがいします…」(頼んだ!?)
「バッツ・・・・・・ね?」
ぱっちーん☆と、ウインクを投げるアレクサンダーに、再び薄ら寒い悪寒が走る。
そんな可愛らしく言われても、ねっ。って言われても・・・・不気味でしかない。
「私と、お主の仲ではないか!」
「どんな仲だよ!つーか、誤解を招くような事を言うな!」「私愛用の腹巻を、確かめ合った仲ではn…
「俺の剣の肥しになりたいようだな…」「おぉ!二人はそう言う。うむ…そうだったのか」
「じいさん。もう、突っ込む気力はないから、説明はしない」
すごい剣幕でバッツはガラフを睨む。
「くわばら、くわばら」と、ガラフは肩を揺らした。
「えーい。ごちゃごちゃ五月蠅い!兎に角。私の可愛い、かわゆい、ラヴリン★レナを助ける為。風の神殿に行くのだ下僕1号・2号よ!」
バッツ・ガラフ:「「ええええええええええええええええええええええええっ!!??」」
果たして下僕1・2号は、アレクサンダーの愛娘、ラヴリン★レナを救う事が出来るのか!?
バッツ・ガラフ「「何か、納得できないんですけど!」」
あ、しまった。ファリスに出会えなかったorz
次回のこんなFF5は嫌だ!は…
今度こそ、ファリスとの出会いです(笑)
ファリス:「おい!誰か、このうざいおっs…男を海に投げとけ…」
アレクサンダー:「サリサぁぁぁぁぁ――――――――――――――――!!!(泣)」

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